税務会計用語
青色申告
所得税と法人税の納税義務者が、税務署長の承認を受けて行う申告をいい、様々な特典が認められています。青色申告の承認を受けた納税義務者は、帳簿を作成して取引を記録した上で、一定期間保存する義務があります。所得税の青色申告の特典の主なもの
- 青色申告特別控除
- 青色事業専従者給与の支給
- 貸倒引当金の設定
法人税の青色申告の特典の主なもの
- 欠損金の繰越し
- 欠損金の繰戻還付
- 特別償却
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
所得税
原則:その年の3月15日特例(新規開業):業務を開始した日から2ヶ月以内
法人税
原則:事業年度開始の日の前日設立事業年度:設立日から3か月以内
一括償却資産
取得価額が20 万円未満の減価償却資産を取得した場合に、通常の減価償却ではなく、毎年取得価額の3 分の1 ずつ、3 年間で償却することを選択した資産をいいます。この場合、取得の翌事業年度以降に廃棄した場合であっても、毎期の償却限度額は、取得価額の3 分の1 となります。つまり、廃棄した事業年度において、償却限度額以上の除却損を計上しても、 限度額を超えた部分についての損金算入は認められません。
(参考:30万円未満の減価償却資産の税務上の取り扱い)
課税標準
税額を計算するための基礎となるものをいい、税目によって異なります。- 所得税、法人税 ⇒ 所得金額(≒利益)
- 相続税、贈与税 ⇒ 財産の価額
- 消費税 ⇒ 課税資産の譲渡対価の額
キャッシュフロー計算書
キャッシュ(お金)の流れを表す書類で、期首の現預金と期末の現預金との差額が、どのようなビジネス活動の結果生じたものかを示します。- 営業活動によるキャッシュフロー
⇒本業で稼いだ現金の流れ - 投資活動によるキャッシュフロー
⇒設備投資に使用したお金の流れ - 財務活動によるキャッシュフロー
⇒借入れや増資によるお金の流れ
給与支払報告書
給与を支払う者(法人、個人事業主)が、給与の支払いを受けた者(役員、従業員等)の1月1日現在居住する市区町村に対し、前年1月1日から12月31日までの間に支払った給与等の金額を報告する書類をいい、住民税を計算する元となります。欠損金の繰越控除
税務上生じた欠損金(赤字)を、翌事業年度以降9年間(※)繰り越し、翌事業年度以降に生じる所得(黒字)と相殺することができる法人税法上の制度です。(※)平成20年4月1日前に終了した事業年度で生じた欠損金の繰越期間は7年間
なお、平成24年4月1日以後に開始する事業年度より、資本金1億円以下の法人(資本金5億円以上の法人の100%子会社等以外)以外の法人の控除限度額は、所得の80%相当額までとなりました。
欠損金の繰戻還付
前期が黒字で当期が赤字の場合、前期の所得を限度として、前期に納めた法人税が還付される制度です。還付請求額=前期の法人税額×(当期の欠損金÷前期の所得)
(例)前期所得 100、 前期法人税額 18、 当期赤字 △80
18×(80/100)=14.4→還付請求額
資本金1億円以下の法人は、この制度の適用が可能ですが、資本金5億円以上の法人の100%子会社は、適用を受けられません。
また、資本金1億円を超える法人は、平成26年3月31日まで、当制度の適用はありません。
この制度は法人税のみのもので、地方税にはありませんが、翌期以降に黒字が発生した場合、地方税額が発生しない配慮はなされています。
交際費
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が事業に関係のある者に対する接待等のために支出する費用をいい、原則として、法人税法上の損金とすることができません。ただし、一定の要件を満たした飲食費等は交際費等から除外できます。
資本金1億円以下の法人は、平成25年4月1日以後開始事業年度より、800万円までの交際費は、全額損金算入することができます(平成25年3月31日以前開始事業年度は、支出額のうち年600万円以下部分の90%に相当する金額を損金算入可能)。
ただし、資本金5億円以上の法人の100%子会社等は、交際費全額を損金とすることができません。
(参考:交際費について)
自己資本比率
会社の安全性を示す指標で、純資産÷総資産で求めます。30%~40%以上あることが理想とされます。
少額の減価償却資産
取得得価額が10 万円未満又は使用可能期間が1 年未満の減価償却資産は、取得価額の全額を、一時に損金とすることができます。また、青色申告者である資本金1億円以下の法人(※)及び個人事業主が、平成15年4月1日から平成26年3月31日までの間に30万円未満の減価償却資産を取得した場合は、年合計300万円を限度として、一度に全額損金算入することが認められています。
(※)資本金が1億円を超える法人等に、発行済株式総数の2分の1以上を所有されている法人等を除きます。
この場合の取得価額は、消費税の税込経理をしている場合は税込金額で、税抜経理をしている場合は税抜金額で判定します。
(参考:30万円未満の減価償却資産の税務上の取り扱い)
所得控除
所得控除とは、所得税を計算する際に、所得から控除できるもので、以下の14種類に分けることができます。- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- 障害者控除
- 寡婦(寡夫)控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
(参考:税額控除)
税額控除(所得税)
税額控除とは、算出された税額から、一定額を控除できるものです。所得税の税額控除で代表的なものは、以下の通りです。- 配当控除
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
- 政党等寄付金特別控除
- 公益社団法人等寄付金特別控除
- 外国税額控除
損益計算書
企業の経営成績(どの程度利益が出ているか)を表す書類をいいます。利益には以下のようなものがあります。
- 売上総利益
売上から売上原価を差し引いたもの
- 営業利益
売上総利益から販管費を差し引いたもので、本業での儲けを表す利益 - 経常利益
営業利益に、本業には無関係の営業外損益を加減算したもの - 税引前利益
経常利益に、臨時損益である特別損益を加減算したもの - 当期純利益
税引前利益から、税金を控除した後の利益
利益とお金は別のものなので、利益が出ていても、経営が厳しい場合もあります。
貸借対照表
企業の財政状態を示す表で、「資産の部」「負債の部」「純資産の部」からなります。資産=負債+純資産
資産 ⇒ 会社のお金が運用されている資産。
負債 ⇒ 借りたお金(返済義務のあるもの)。
純資産 ⇒ 株主から出資されたお金(返済義務のないもの)。
超過累進税率
課税標準額(税額計算の元となる金額)が大きくなるに従い、累進して高くなる税率のことをいい、具体的には、所得税、相続税、贈与税、住民税等が該当します。例えば、下記は所得税の税額表ですが、仮に所得金額が400万円の場合、税率20%は400万円全額に適用される訳ではなく、195万円以下の部分は5%、195万円超330万円以下の部分は10%、330万円以上400万円以下の部分は20%の税率が適用されます。
この点は誤解されている方が多いので、ご注意下さい。
【所得税の税額表】
課税される所得金額(A) | 税率(B) | 控除額(C) | 税額=(A)×(B)-(C) | |
---|---|---|---|---|
超 | 以下 | |||
1,950,000円以下 | 5% | - | (A)×5% | |
1,950,000円 | 3,300,000円 | 10% | 97,500円 | (A)×10% - 97,500円 |
3,300,000円 | 6,950,000円 | 20% | 427,500円 | (A)×20% - 427,500円 |
6,950,000円 | 9,000,000円 | 23% | 636,000円 | (A)×23% - 636,000円 |
9,000,000円 | 18,000,000円 | 33% | 1,536,000円 | (A)×33% - 1,536,000円 |
18,000,000円超 | 40% | 2,796,000円 | (A)×40% - 2,796,000円 |
比例税率
課税標準額に対し、一定の比率を乗じて税額を算出する方法をいいます。具体的には、法人税、消費税、固定資産税等が該当しますが、比例税率の場合、課税標準が大きいほど、税額も高くなります。
法定申告期限
申告書の提出期限をいい、税金の種類により異なります。- 所得税
所得が発生した年(1月1日から12月31日)の翌年3月15日 - 法人税
事業年度終了2ヶ月後(申告期限の延長の届出をしている場合は3か月後) - 相続税
相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月後 - 贈与税
贈与があった年(1月1日から12月31日)の翌年3月15日 - 消費税(個人)
課税売上が発生した年(1月1日から12月31日)の翌年3月31日 - 消費税(法人)
課税売上が発生した事業年度終了2か月後
法定申告期限が、土日祝日に該当する場合は、次の営業日となります。
免税事業者
事業者(法人、個人事業主)は、原則として、消費税を納める必要がありますが、一定の事由により、納税義務を免除されている事業者をいいます。・前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下である場合
・設立1期目、2期目法人のその事業年度開始時点の資本金額が1,000万円未満の場合
ただし、平成25年1月1日以後に開始する事業年度については、前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(※)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、免税事業者とはなりません。なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。
※ 特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間をいいます。